つのコラム
思い出
新しい総理大臣がどうのよりも、次のアメリカ大統領が誰になるかよりも、いつも私を悩ませるのは、今夜のおかずは何にしようか。子どもたちは友達と仲良く遊んでいるだろうか。そして私はあと何日働けば休みかな?と、こんなことばかり考えている。休みの日は子どもたちをどっか連れて行ってあげたいな。
宮崎にサーカスが来てますね。8年ぶりに来てるとの事。職場でも「小さい頃じいちゃん(や親)に連れて行ってもらった」「子どもが小さい頃行った」「バイクの音がうるせかった」「帰りにご飯食べて帰った」など聞きました。思い出ですね。
私も子どもの頃連れて行ってもらったし、8年前も子どもと行きました。今回はまだ産まれてなかった息子たち2人も連れて行こう。そして「そういえば親と行ったな、ばあちゃんもおったな」と覚えていてほしいもんです。さらに贅沢をいえば、子どもたちが親になった時にはサーカスや動物園、旅行や祭りにキャンプなどいろんなところに行ってほしい。子どもが初めてみる景色や初めての体験には目がキラキラしており夢中になります。その横顔を見れることがこんなにも嬉しく喜びとなるなんて親になって知りました。
子どもはせいぜい10年くらいしか親と遊んでくれない。だからその短い間ですが、子どもと向き合い遊んでみようと思う。と、偉ぶった事を書いていますが、ゲームの相手はもっぱら旦那さんに任せてゴロゴロしている私です。
小辻󠄀 史(こつじ あや)
高鍋生まれ。夫と知り合い都農人となる。そして更に縁あってこのコラムを書くことに。趣味は宝塚歌劇団鑑賞と少しばかりの読書。結婚前は海外旅行によく行っていた。現在町内のデイサービスにて勤務中。
宮崎大学が2020年4月に「つの未来まちづくり推進機構」から寄附を受け、地域資源創成学部に寄附講座を設置してから4年が過ぎ、5年目になります。開設当初は新型コロナの影響で、都農町での学生実習「地域探索実習I」も旧国道10号沿線、寺迫、木和田、下浜に、「地域探索実習II」では(株)都農ワイン、(株)都農まちおこし屋(道の駅つの)、河野農園(株)での活動に限られていましたが、2021年4月から寄附講座所属の瀬川准教授が担当して1年生90名全員が履修する「地域学基礎」が始まり、教育活動が都農町全体に広がりました。また、「PBL」の授業も新たに開講し、学生たちの町民の皆さまとの協働も開始され、都農高校の美術講師も勤めた彌勒祐徳氏の絵画展も都農中学校生徒と一緒に開催しました。
寄附講座は〝学生たちが都農で学び、学びを都農に活かす〟ことを目標にしてきましたが、今年3月には4年生7名が都農町の課題をテーマとした「卒業研究」の成果を町役場や町民の方に発表し、政策提案させていただきました。
本年度は、4年生が「都農町下浜地区の津波避難に関する調査研究」、「都農町のPRと移住促進策としてのSNS活用に関する調査」を進めています。PBLでは町内のイベント参画・企画や日帰り観光ルート開発などのプロジェクトを進めています。今年も学生たちと一緒に各地で活動しますので、引き続きご協力とご支援の程をお願い申し上げます。
出口 近士(でぐち ちかし)
宮崎大学地域資源創成学部。専門は都市計画・交通まちづくりで、宮崎県都市計画審議会会長などを務める。宮崎大学工学部、地域資源創成学部教授を経て2020年4月から寄附講座・地域経営学講座特別教授。
夏に読んだ怖い小説
今年の夏は飛ぶように過ぎていきました。特に8月はあっというま。1日、2日は都農神社の夏のお祭りに初参加しました。やはり非日常の祝祭は人間が生きていく上で必要ですね。そのあと2つの県外出張、川祭りがあり、その間に大きな地震と大きな台風も立て続けにやってきて、なんだか落ち着かない日々でした。被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。
さて、今回は最近読んだ小説についてつらつらと。2019年に文庫化された桐野夏生『バラカ上・下』(集英社文庫)を一気に読みました。内容云々ではなく本屋さんで名前を見かけたらついつい買いたくなる作家が私には何人かいますが、桐野氏はその1人です。この小説は3・11の東北大震災、およびそれに続く福島第一原発の事故が物語の中核をなしています。地震と津波は現実にほぼ即して書かれていますが、原発事故の被害は現実より甚大に描かれており、放射性物質による汚染で首都機能は東京から大阪に、天皇は京都御所に移ります。その後(なんと!)大阪五輪を誘致、開催。煽られた復興経済の名のもと多くの国民や被災地が取り残される姿は既視感ありです。その中で原発を巡る闘争や自己中心的な大人の思惑に翻弄されながら、幼いころ被曝し被災地に取り残された主人公の少女「薔薇香(バラカ)」が社会を生き抜いていく様が描かれます。
これはディストピア小説ですが、「現実離れしていない」ことが一番怖いです。誰も安全地帯にいることは許されないのだということが突きつけられています。私たちにできることは、「見て見ぬふり」はもうしない、ということでしょうか。
小松原 駿(こまつばら しゅん)
1988年東京生まれ。同志社大学経済学部卒。映像作家見習い、蔵人(清酒醸造)などを経て2020年都農町へ。現在ツノスポーツコミッション事業統括責任者。座右の銘は「そのうちなんとかなるだろう」(植木等)
ゴーヤの魔法
先日、恐れ多くも町内の小中学生の保護者の前で食の話をする機会を頂きました。時短や効率化が重視される昨今、現代の子どもの食事には、成長期に欠かせない「栄養」や「コミュニケーション」が不足しがちで、それらを育むのは家庭の役割が大きいと伝えました。わが家の食卓はどうかというと…子どもとの会話より、家事を優先してしまう場面がちらほら。「楽しく・ぼちぼちと」を念頭に試行錯誤の日々です。
夏の食卓によく並んだのは「ゴーヤ」。様々な栄養素が豊富に含まれていることは周知の事実ですが、苦手なお子さんも多いのではないでしょうか。うちの娘も言わずもがな。カレー粉やケチャップで炒めたり、しっかりめに茹でて塩昆布やおかかで和えたり…特有の苦味をまろやかにする工夫をしながら、「足が速くなりたい」と燃える娘の気持ちを利用(!?)して、「ゴーヤを食べると足が速くなる」というジンクスを独自に設定。栄養学的に直結するわけではありませんが、体の機能を整えてくれるという意味で嘘ではないだろうと考えました。これが功を奏し、「にが~い!」と顔をくしゃくしゃにしながら食べています。そこからゴーヤに興味を持ち始めた娘。TV番組で見たゴーヤの苦味成分や種の話など、親が知らない情報をシェアしてくれるように。しまいには「ゴーヤを育てたい!」と言い出すまでになり、わが家で完全に市民権を得たゴーヤ。工夫や伝え方でこうも変わるのだと実感した今夏でした。皆さんの食卓では、今日は何を食べ、誰とどんな会話をしましたか?
古部 祐子(ふるべ ゆうこ)
福岡県出身。大学卒業後、神戸・東京で情報誌の編集・制作に携わる。結婚後はイラストレーターとして活動しながらサッカー選手だった夫の栄養管理に従事。2020年に都農町へ。古いものを溺愛。焼酎はロック派。